Watch Dogs 感想。エイデン・ピアースとプレイヤー

今回書くのはWatch Dogsについてだ。
別に今更書くこともないレベルでこのゲームがどういうことかは私より文章が上手い方が書いているだろうけど、ちょっと思ったことについて書きたいので書くことにします。
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Watch Dogsについて

このゲームはアメリカのシカゴが舞台のオープンワールドゲームだ。
主人公エイデンは、ある日車で家族と出かけていた時、ギャングにドライブ中に襲われその事故で娘を亡くしてしまう。
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襲ったギャングが誰なのか、誰が糸を引いているのか、その真実を知るべくエイデンは復讐のため動いていく。

ゲーム内容

取り敢えずこのゲームはハッキングがメインで、街の人やら機械やらをハック、もといオブジェクトをインタラクトしていくわけだが、
ハッキング要素以外はGTAを作りたかったんだなと思ってしまう。
f:id:pado2donpan:20170813010537p:plain 警察がやたら強くてちょっと怒らせると白い車が2桁単位で追っかけてくる。
また、銃を色んな人にぶっ放すことも可能だったり、車を一般人から奪えたり、ハッキング要素もそこに盛り込みつつなるべくシカゴの街を楽しむべく作られている。
だが、カーチェイスだけは解せない。
f:id:pado2donpan:20170813010346p:plain 特にサイドミッションのなかに「フィクサー契約」というのがあるのだが、これがただ「特定の場所に車を運転して運んでください」とか「特定のポイントをこの車を使って通過して警察に見つからないようにしてください」とかいっちゃあ悪いけど何回もやらせるものじゃない。
また、このフィクサー契約の実績を開放するには他のサイドミッションの2倍以上やる必要があり、コンプリートしたい人ほどしんどくなる。
それは抜きにしてもやたらと車使って逃げろとかが多く、もう少しバリエーション増やしてほしかったなと思う。

エイデン・ピアースという男

さて、本題に入ろう。
このエイデン・ピアースについて、エンディングを見たうえでの感想を言っていきたい。
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エイデンは先述した通り娘を殺した人間を見つけるという復讐のために動いている。
そのためには立ちはだかる障害は殺してでも…といった感じだ。
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だがその原動力こそ、プレイヤーに「シカゴという街でどういう行動をとっても、それは復讐のための道のりにすぎない」という説得力を与える。
いわば、娘の死をもってエイデンというキャラはプレイヤーに「動かしてもらう」意味が与えられているともいえる。
だが、彼の妹であるニッキーが捕らわれ、その解放のために動いているとき、彼女は誤って人を銃で撃ってしまう。
エイデンと違い、彼女は復讐に囚われてなどいない普通の人間だ。
つまるところ、「プレイヤー」そしてエイデンとは一線を画している。そこで彼女が撃ってしまったことに狼狽え、「あなたはこんなことを何度もやってきたの?」というようなことをいわれ、プレイヤーである私自身が胸をチクリとされるような気分になった。
言われているのはエイデンの筈なのに、どうにも自分にもくるものがあった。
それでももうエイデンは止まれないし、プレイヤーもエンディングがみたくて止まる気などさらさらない。
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そして、ついに娘の死の元凶を倒し、彼のかつてのパートナーであり、敵に回ったダミアンとの最期の対話。
ダミアンは口にする。「お前はなんだ。他人を踏みにじって、マフィアのボスを追い回して。自分だけが許されるとでも?
それはまさにここまできたエイデンとプレイヤー両方に投げかけられているようだった。
ここまでくると、私は同社のFar Cry 3のジェイソン・ブロディを思い出してならない。
ただし違うのは、ジェイソンはイカれた島でまるでヤクをやったかのような高揚と苦痛に見舞われながら争い復讐をしていたことに対し、エイデンはつねに冷たく行動していた。
淡々とミッションをこなすプレイヤーのように。最後までこのゲームをクリアして思うのは、エイデン・ピアースもまた「プレイヤー」の現身なのかもしれないし、娘の死というのは最早大義名分に過ぎないものなのかもしれない。
そして最後にエイデンは、プレイヤーは選択される。
生かしておいた娘の事件の襲撃犯を撃つか否か。

私は―――――――、撃たなかった。
それは決して「もう人は殺したくない」だの「もう終わったからいいんだ」ということではない。
「この世界にケリをつけたかった」からだ。
この選択をもって、今まで一体だった「エイデン」と「プレイヤーである私」は、離れた。
ゲームを終了し、エイデン・ピアースという男の復讐劇に幕を閉じるために。