マクナ=グラムラとフェアリー・ベル 感想 & fault milestone oneアプデについて軽く触れるよ

ビスチェル・ヴァイコーレ。ビルセリオ。ビスチェル・ヴォストーロ。というわけで今回紹介するのはマクナ=グラムラとフェアリー・ベルです。

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どんなゲームか

マクナ=グラムラとフェアリー・ベルは、日本のインディーデベロッパーである
ALICE IN DISSONANCE(略してAiD)が手掛けた、童話のように作り上げられているビジュアルノベルだ。
これは同Devが手掛け、私のブログでも多少の紹介はした「fault」シリーズのスピンオフ作品となっている作品で、
マリベル孤児院に住むマクナという女の子と、セビアという男の子の物語だ。
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孤児院の子どもたちは、10歳になると動物に変えられ売られてしまう。それを嫌だと思ったセビアとマクナは、子どもたちを助けてくれるフェアリー・ベルという存在、そして一生幸せに暮らせることのできるエンレス・ランドという場所があり、そこにフェアリー・ベルが連れて行ってくれるという伝説に一縷の望みを託し、助けてほしいと心の中で願う。
2人はフェアリー・ベルと出会うことに成功し、フェアリー・ベルが「オトナにならないこと」を条件として、エンレス・ランドに連れて行ってもらう。
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エンレス・ランドでなにが待っているのか、マクナたちは幸せになれるのか、といったのがプロローグだ。

オトナになること、オトナでいてわかること

この作品を語るうえで、オトナになることというのはどういうことなのか、というのはひとつのテーマだろう。
エンレス・ランドは確かに子供たちを幸せにしてくれるとても素晴らしい場所だ。
だがしかし、オトナになった我々から見るとあー…となる描写がそこかしこにこの作品は散らばりを見せている。
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そのことをマクナたちはきづかない。いや、直感的には気づいてはいるものの、それがなにかはっきりと認識はできていない。それがどういったことなのかはまだまだ未熟で知らない子どもなのだから。
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でもそれでいいよね、エンレス・ランドは幸せなところ。不穏も悲しみも必要ない。
そういった小さくも、しかしはっきりとした違和感をマクナたちは知らず知らずのうちに、私たちオトナは自覚して植え付けられていく。
それがやがて大きくなっていき、マクナたちにも変化が出てくるのだが、どうなっていくかは是非とも買って、オトナになること、子どもでいること、幸せになること、それのひとつのアンサーとして出したこの作品をプレイしてみてほしい。

ゲームを支える演出

このゲームのDevは元々「fault」シリーズで演出や立ち絵の使い方のうまさが魅力だったが、今回それがまた一段とパワーアップしている。
私が個人的に注目してほしいのはSound Effect…つまりは効果音だ。
f:id:pado2donpan:20180331001550p:plain   エンレス・ランドに初めて入るときであったり、ドアの開閉がわかるような細かい音であったりと色々あるが、その世界をより想像しやすいよう上手く練りこまれているのに注目だ。
個人的にすごいなと感じたのが、チャプター数は伏せるが、とあるチャプター終わり頃で使われる効果音だ。
海外ドラマで場面転換などで使われたりは見たことあるかなーという記憶はあるが、こういう使われ方をしているのはその直前の音の使い方と相まって感嘆した。割とこういう使い方をしたVNってそうそうないんじゃないだろうか。
また、演出とともにテキストも今回童話風に寄っているからなのか、「fault」シリーズでは見かけることはないんじゃないかというような表現の仕方をしているため、そこも個人的注目ポイントだ。
絵も今回シリーズとは変えて童話風にしており、こういうタッチでもいけるんだ…と、全体的にこのサークル自体の可能性を更に見せつけられたような気がしてよかった。

「fault」シリーズとの接点

この「マクナ=グラムラとフェアリー・ベル」は、上述したように「fault」シリーズのスピンオフであるが、一方でシリーズをやっていなくても問題は大してない作りにもなっている。
ただ、「ヴィルセリオ」「ビスチェル・ヴァイコーレ」などといったいわゆる挨拶にあたる言葉はシリーズをやってないとわからないため、やはりシリーズをやっている人向けともいえる作品だ。
ここで、更にシリーズを、特に今出ているfault - SILENCE the PEDANT のデモ(体験版)にて、アリスン=リーヴェという「fault」世界での人物が紹介される。
このひとこそ「マクナ=グラムラとフェアリー・ベル」を著書した人物であり、fault世界にあるとても有名な童話という設定だ。
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また、アリスン=リーヴェが活動していた頃世は戦乱の真っただ中であり、そんな中で芸術作品の社会的価値を再び引き上げ影響を与えた人物である。そして、そんな情勢の中どういう作品を仕上げたのか、という観点からみるとシナジーを感じられてよいかもしれない。
この「マクナ」を機にfaultシリーズに手を付けるもよし、また、faultシリーズはやってるけどこれは関係ないんでしょ?という方もぜひfault世界を掘り下げる作品となっていることは間違いないので、おすすめだ。
個人的に収穫だったのが、あの世界での私たちの世界に当たる馬や猫といった動物の名前が知れたことだろうか。でもあれは「マクナ」世界のみの動物なのだろうか…それとも「fault」世界にもいる動物なのだろうか…ちょっと謎だ。あなたが安易にハムスターとかドブネズミとか私たちの世界の動物の名前いうのが悪いんですよメラノさん! f:id:pado2donpan:20180331005050p:plain

そんなこんなで

「マクナ=グラムラとフェアリー・ベル」は、一見童話っぽく子ども向けに作られたかのような作品には見えるが、中身を開けると大人も楽しめるような作品となっている。
そこまでお話も長くなくサクッと読める上にとても安い。なのに、演出・サウンド・ビジュアル・テキストどれもがとても力の入った作品だ。ぜひ一度プレイしてみてはいかがだろうか。

つぎの子どもを助けるために、今日も彼女はヴィビリアを削る。
こちらの世界とあちらの世界を行き来するために。
だから、安心して、傷ついて。
フェアリー・ベルはいつも、エンレス・ランドの大きな大きな水晶を通して、
君を助けるチャンスをうかがっている――

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そういえばサブリミナルアリスちゃんは今作もいましたが割とわかりやすかった方ですね

fault関連の余談

余談、というにはあまりにビッグかもしれないが、先日fault milestone one(faultシリーズの1作目)にビジュアルやUI強化のアップデートがきた。
序盤の戦闘の大幅な演出強化、各シーンやキャラ立ち絵の一部刷新、UIのオーバーホールであったり、一度プレイ済みの方もまだやっていない方もこれを機にプレイしてみてくれ!頼む!
マクナでfaultシリーズを気になった方も、チャンスだと思ってプレイしてみてはいかがでしょうか。
自分もちょっと1周しまたが、全体的に一新された部分は新鮮に思えるところもあってよかったです。
ただ、ちょっと気になったのがテキストの改行の部分がやたら2行目だけひらがな1文字プラス句読点、みたいなすこし整ってない文体の状態になっているみたいなテキストウィンドウが若干見られ、もう少し整えてほしかったなという気持ちも。(これって元からでしたっけ?なんか記憶がおぼろげで申し訳ない)
あと、個人的に絵がアップデートされた「あの娘」はも~っとヤバめな目をさせても問題なかったと思います(興奮しながら)。…欲張りさんね私は。
…と、気になったところはあるものの、全体的に満足度の高いアップデートだったと思います。
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主人公の一人であるリトナがさらに格好良く、ココもちょっと強敵らしいクラフトを見せているスチル追加がされている。要チェックだ!
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甘寧…じゃなくて大型アップデートでも一番乗りはやっぱりココ!

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そんなこんなで、マクナとfaultの記事でした。それでは皆様、イスタ・ヴィルセリオル。