Chaos;Childレビュー。サスペンスVNのマスターピース。

久々に記事を書こうとすると色々と分からないことだらけでございます。
なので定期的に記事は書かんといけん、そう思う私でございます。
さて皆さま、この怠惰な物書きの愚痴はどうでもいいとして。今回紹介するのは Chaos;Childだ。
※注意!この記事には少々ショッキングな画像が含まれています

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舞台は2015年の渋谷。数年前のような凄惨な事件が再び起きる

2015年の渋谷。そこではある日を境に突如奇妙な事件が起きるようになる。
とある配信サイトの生放送中に、つまみと称して自分の右腕を包丁で切り刻んでそれに気づかぬまま食べ始め、失血により放送中に意識を失う男性…カッターで切り刻んだ腹部内にスピーカーを仕込み路上ライブをしながら意識のなくなった女性…
最初はネット上の誰もが面白がった謎の事件。それらはうすうすと人々に気づかれ始める。
これはかつて渋谷を騒がせた「ニュージェネレーションの狂気」の再来ではないかと…
この事件は瞬く間に渋谷を騒がせ、次に来るのは何月何日だ、とまるでお祭り騒ぎのようになってしまっていく。

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第二の事件「音漏れたん」。こういった少しおふざけの様なネーミングはネット上の匿名掲示板で話題になったから、といった設定。
今作『Chaos;Child』では、上記のような凄惨な事件の正体がなんなのか。自ら彼らが引き起こしたものなのかそれとも引き起こされたものなのか。
迫りくる脅威や徐々に明らかになっていく事件の全貌、それらを主人公宮代拓留がはじめは興味本位で追っていたことから、次第に拓留自身が巻き込まれていくことになる。そんなサイコ、そしてサスペンス要素の多いビジュアルノベルだ。

興味本位から事件を追い始める少し"痛い"主人公。

主人公である宮代拓留は渋谷にある碧朋学園(架空)という学校の3年生であり、新聞部の部長であった。
彼は常にそこいらの他人とは違いちゃんとした事を知っているということ、所謂「情報強者」を名乗っていた。
それゆえ彼の言動にはどうしても「自分は彼ら情弱(情報弱者)とは違う」といった意識を感じ取られる部分があり、それ故に痛さを覚えるところも少々あり、そこについては多少私としてもきつい主人公だと思うことはあった。
しかしながらそういった主人公に変な特徴を持たせているのは『Chaos;Child』だけでない。私はこれをプレイする数年前に『Steins;Gate』、そしてこれをプレイしたあとに『Chaos;Head』、『ROBOTICS;NOTES』をプレイしている。これらは公式で「科学アドベンチャーシリーズ」と名付けられている。
そしてこのシリーズ内で、むしろ普通の主人公はいない位だ。(むしろ物語の終わりまで見ると、この宮代拓留という人物はシリーズでもトップクラスのまともな人間となっている)
なので、そういった事からもこの本作の宮代拓留もそれに漏れず少し痛い性格をしていることはプレイすれば明確になるだろう。しかしながら、本作ではそこで決してコントローラーを置くのはあまりに気が短いとすら言えてしまうほど、そういった言動も話を進めていくにつれなくなり、彼のキャラが魅力的になっていくことは間違いないため待ってほしい。
また、本作は『妄想科学アドベンチャー』と銘打っているように、『妄想』が物語の鍵となっている。
主人公は他のキャラ、もしくは一人で思考に耽っているときにふと選択肢のようなものが画面の左右端から現れることがある。これが従来のビジュアルノベルゲームでよくある選択肢を示す、「妄想トリガー」というものである。
妄想トリガーはポジティブ、ネガティブ、中立の3つの内から選択することで変わる。このような妄想トリガーシステムも合わせて拓留の痛さ(というよりは妄想力のたくましさ)がはっきりするのだが、基本ポジティブもネガティブもその文字通りの妄想を見せてくれるので、プレイヤーは攻略でヒロイン分岐を選ぶとき以外は好きなものを選べばいい。

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これはヒロインの一人である「有村雛絵」との会話で、妄想トリガーポジティブを選んだ場合。大体が主人公の妄想から生み出された夢のようなものというのは言うまでもない。
この「妄想トリガー」自体は目新しいシステムでもない。選択肢が視覚的にわかりやすくはなったものの伝統的なVNのシステムといえてしまうし、何より本作の前身である『Chaos;Head』から続投されているものでもあるからだ。
だがしかしこのシステムが本作に適しているのは、本作は「主人公の、他のキャラの見えている景色のどこまでが妄想でどこからが現実なのか?」という疑問を一つのテーマとしていることだ。それ故に主人公が見ている景色は果たして虚構なのか現実なのか。それを妄想トリガーというシステムは主人公の視点ということを利用して上手いこと使えているから、といえるだろう。

その考えを補強させるためにとある設定がされているのだが、それはまた後述するとして。
さらにはそういったシステムだけでなく、この「妄想」というキーワードはストーリーにも大いに使われている。それを語っていこう。

妄想と現実の境界、そしてギガロマニアックス

本作はやはり上述したようにこの点が大きな話だろう。どこまでが妄想なのか?どこまでが現実なのか?それを本作ではそれを演出やストーリーの面で上手いこと組み込まれている。
ただしあくまでストーリー上でのキャラ達の視点が、という点は注意すべき点だろう。メタ系要素に一切タッチはしていないという点は私としては評価すべきところだと思っている。なにせそういったメタフィクションの類は今となってはもはや飽和気味だ。
いかにもそういった要素を入れることの出来そうなテーマでやらずに完結させたという点は、前身の作品である『Chaos;Head』も本作も評価すべき点だろう。
そしてその「妄想」をテーマとし、かつ本作は基礎となる科学知識が存在し(本作は脳科学の部類になる)、それを元にファンタジー要素を入れている。それが「ギガロマニアックス」ないし「ディソード」といった設定だ。
正直私としてはこれらの要素が出てきたときは最高に面食らってしまった。なにせサスペンス的お話を展開していたと思ったら、いきなり少しの科学要素をベースにゴリゴリのファンタジーをねじ込んできたからだ。(ディラックの海をベースにした設定。)
だがこの要素は上述した妄想関連と上手いこと結び付けられており、なおかつサスペンス的な話の邪魔をしていない、それどころかなるべく最適な組み合わせを提示しているということだ。
あくまで主体となるのは「ニュージェネレーションの狂気」の再来についてと、それに関わっていく宮代拓留の物語であり、それに紐づくのが上述した妄想や、ファンタジー要素のある設定と考えればいいだろう。
プレイしていて思ったのは、予想以上にすんなりそういった設定が入っていったということだろう。こじつけもほぼなく理想的な配分で組み込まれているといえる。

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ギガロマニアックスーー、超誇大妄想狂と言われる彼らは、ディソードと呼ばれる媒体を通してディラックの海へ干渉し、負のエネルギーを生み出す。これを用い、自身の起こした妄想を他者との周囲共通認識を確立させることで具現化に成功させる。要は他人に「私はこういう妄想をしました」と他人にも明確な認識をさせることを条件に、妄想を現実化させる人達。

ニュージェネレーションの狂気

上述したうちに、「ニュージェネレーションの狂気」というワードがいくつか出てきたことだろう。
これは前身となる作品、『Chaos;Head』で出てきた、7つの猟奇的な事件を指している。
事件の詳細は実際に『Chaos;Head』をプレイしてほしいので避けるが、
『集団ダイブ』 、『妊娠男』、『張り付け』、『ヴァンパイ屋』、『ノータリン』、『美味い手』、『DQNパズル』という7つの事件が作品中の2009年に発生した。
本作ではそれらが起きた事件の日と同じ日に起きており、再来ではないのか、と気付き始めるのだ。
私としてはこれら7つの名前が出てきたときには、既に興味に満ち溢れていたといえるだろう。なにせすでに心はサスペンスの推理モード状態。加えて後述する「マッピングトリガー」機能にて写真とともにTips以外で出てきた名前なだけに、興奮すらしていたのではないだろうか。

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ニュージェネレーションの狂気と本作の結び付きを調べる段階
ともかく、これら7つの事件とそれらを模倣するかのような猟奇的な事件であるということからも、かなり本作はそういったものが苦手な人には難しいというのが本音だ。
なにせ本作の3番目の事件『回転DEAD』の無音動画再生は、プレイし終えた私もかなり気分の悪さときつさを覚えたからだ。
開発者インタビューでも語られているが、ささきむつみ先生のキャラクターデザインと、その世界で発生する狂気とすら言える事件がかなりのギャップを生み出している。
これらはとてもいい点だと思うし評価できるが、『回転DEAD』のアレはやりすぎだ加減しろ莫迦!といいたくなるレベルである。プレイヤー皆がトラウマになったアレを除けば、正直この『回転DEAD』が一番きついのではないだろうか。
ちなみにこれは余談であるが、『Chaos;Head』は別にやらなくても『Chaos;Child』をプレイするのになんら支障はないということだ。何せ私が『Chaos;Head』未プレイで『Chaos;Child』に手を出したのだから。
ただ、本作をプレイしたあとに『Chaos;Head』をやりたいというのであれば、Vita版がおすすめだ。なお、私はPS Nowでやったのだが、元が規制があるPS3版であることがわかって死ぬほど後悔したのである。

移植とかありませんかまげすさん

テンポの良さと章終わりの"引き"が描写の気味悪さすらも心地よくする

本作で一番評価すべき点なのは、話のテンポと各章の終わらせ方だろう。
プレイしていて所謂「切りどころ」が分からなくなる程度には、文章と状況の移り変わりが飽きが来る前に起こる。
妄想トリガーもその手助けに上手いこと成功しており、話を進めていて退屈する場面が進めるほど無くなっていく。
それ故に、私は「気づけば朝」プレイをしてしまった程度には面白い話の運び方をしていた。
また、上述したように本作は、雑に言ってしまうとプレイヤーを敢えて不安だったり気分を悪くさせる描写が多数存在する。
ただしそれは決して忌避するものではないネガティブ感情であり、同居したまま話を進めることで、プレイヤーに対して「この感情をどうにかしてくれ、この先どうなるんだ」というような逸らせる感情を湧かせることに成功している。
ジャンル付けするなら本作はサイコサスペンスであるが、演出手法にはホラーのものを使っている、というのがより近い認識なのかもしれない。

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主人公たち以外のところで巻き起こる変化にも注目だ
この感情を積みに積み上げていくような演出の作りをしているせいか、1周目クリアは一気にガッツリやったという人も多いのではないだろうか。
また、各章の終わりでは毎回次の章になにかが起こりますよと露骨に示しているかのような作りでもないのに、各章へのプレイ継続の手助けをするかのような引きをしているのも素晴らしい。
そういった演出、話のテンポにおいて、本作は一線を画す出来だというのは疑いを持つ余地がないと言えるのではないだろうか。
ただ、ひとつ惜しむ点としては、幕間に時折彼らの世界での匿名掲示板「@ちゃんねる」で、事件における死ぬほどどうでもいい話し合いの書き込み一覧が見られるのだが、オートモードでプレイしていた場合、
スクロールも全力自動で行われてしまうため、書き込みが見られないというのは誤差レベルとはいえマイナスだろう。
あれらは見ても見なくてもどっちでもいいという気持ちもあるが、そういったものもまた本作の世界の肉づけとして欲しいものでもあるのだ。本作はそういったネットスラング、ネットと現実、現実と虚構、そういった対称となるものの対比がたまに行われる。
主人公、宮代拓留も最初のうちこそ「@ちゃんねる」で興味本位で書き込むような人間と同類のような存在だったのに、徐々に事件に巻き込まれることで彼らとは違う状況に陥る。
そのため、こういったネットスラング関連を出すことは、現実とのギャップを演出するためにも必要であると言えるのではないだろうか。それに対して忌避する人が出るかもしれないが…これ以上は逸脱しすぎるし好みの問題だろう。
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所謂「ゆっくりボイスの付いた動画」をゲームとしてきちんと使っているのは初めて見たが、あれって商標とかどうなっているんだろうとふと思った。

妄想トリガー、そしてマッピングトリガー、UI

さて、話については大体が満足の行く出来であった。一方でシステムの方はどうだろうか。
本作では2つのシステムをプレイヤーの手にゆだねる操作として存在している。
「妄想トリガー」と「マッピングトリガー」だ。妄想トリガーに関しては既に上に書いたのでそこまで語ることもない。
では、マッピングトリガーについて語っていこう。
マッピングトリガーは、各章で「ニュージェネレーションの狂気」を模したような事件を主人公が追っていく、というのが大筋だが、ではどうやって追っていくのか。
上述したように主人公、宮代拓留は碧朋学園新聞部の3年生、それも部長である。
彼主導のもと事件を取材と称し、また新聞部の活動として調査していく。彼らの部室には大きなコルクボードがあり、そこには渋谷全体の地図が貼られている。
その地図に調査の資料やメモ書きなどを貼っていく過程として、推理してプレイヤーが導くよう操作する箇所が出てくる。ここでマッピングトリガーが使われる。

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マッピングトリガー時、キャラクターの台詞に応じて写真などを選ぶことがある。
この仕様は、プレイヤーにとっても「新聞部と一緒に調査している」感が生まれて非常に調和している。また、「自分で推理している」感も生まれるため、ただ読み進めていくだけでない要素があるのは喜ばしいだろう。
ただし、本作はノーマルエンド、各種ヒロインのエンディングと妄想トリガーの分岐次第でいくらでもこのマッピングトリガーパートを通ることになる。そのため、少しこの要素が煩わしいと感じることはあるというのは否めないだろう。
周回時のデメリットを除けば、マッピングトリガーシステムは没入感を高めるいいシステムだ。ただし、現実の渋谷になにがあるかわかってるの前提の華ルート勘弁してくだち…
また、ポーズ画面も地味に凝っており、バックログやポーズをするたびに背景の画像がサブリミナルよろしく画像がちょこちょこさし変わる。ポーズ画面などは上述した「現実と虚構の差」を取り入れたのか、ゲーム画面を額縁の中の絵のように表示し、その左側にセーブ~ゲーム終了までを写すものとなっている。こういったデザインも秀逸なので眺めるのもいいだろう。
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個性的な(イカレた)新聞部のメンバーを紹介するぜ

さて、主人公の宮代拓留含め、改めて碧朋学園新聞部のメンバーを所感も含めて簡単に紹介していこう。

宮代拓留

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いや、状況が彼を成長せざるを得ないものだと言えばいいのか。なんにせよ、彼は間違いなく本作の中でもトップクラスで評価の高いキャラといえるだろう。
また、彼はかつて「青葉寮」という施設にすんでいたが、色々と問題が起きて今はキャンピングカーに住んでいる。
彼の「リア充の定義」は私も納得したのである種彼に愛着が湧いたのはそのころからかもしれない。
あと忘れてはならないのが、宮代拓留を演じた松岡禎丞氏の熱演だ。これは最早本作にとって欠かせないものとなっている。中盤から最後までの演技には感服するレベルだ。

尾上世莉架

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尾上世莉架、通称おっけいさんとも呼ばれる。(口癖が「おっけぃ。」なところから)碧朋学園2年生。
彼女は主人公の幼馴染であり、一番の理解者といえる存在だ。
拓留がそうと決めたことにはついていくし、拓留に対して人一倍献身的であるといえる存在だ。
ただし時折見せる危うさもまた、逆に拓留が気にかけなきゃと思わせる一面なのかもしれない。
尾上のような存在は一見こういったサスペンスにはノイズかもしれないが、意外と清涼剤になったりすることもある。またどのように物語に関わっていくかも注目だ。
……私から語ることは以上です!!!!

来栖乃々

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拓留がかつて住んでいた「青葉寮」という孤児を引き取る施設に今も住んでいる碧朋学園3年生の生徒会委員長。
皆から「女帝」と呼ばれ恐れられる。ただし、拓留とは昔あったとある事件から、ギクシャクした関係となっている。また新聞部の副部長でもある。
彼女は最初から最後まで印象は変わらない。ひたすらに「オカン」だろう。これ以外ない。
ひたすら可愛げなしの母性をたたきつけてくるからだ。また、そんな彼女のルートは色々と面白いので、是非とも最後にやってほしいというのが願いだ。

有村雛絵

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碧朋学園2年。尾上世莉架とは同級生に当たる。文芸部の部長でもあるが、新聞部の方が居心地がいいと思ったのか住み着き始める傾向にある。
彼女ははじめてギガロマニアックスとして正体を見せる一人であり、その能力は「他者の声に出した言葉が嘘か本当かわかる」というもの。
有村雛絵に関して言えるのは、彼女が一番ギャルゲー然としたヒロインであるということだろう。
だがそこは『Chaos;Child』のキャラである。一筋縄ではいかないところもあるので安心してほしい。

香月華

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碧朋学園1年。唯一の1年生部員である。
基本的に彼女は喋ることなく、新聞部の部室の片隅に置かれたPCでネトゲばかりやっている。
たまに発する声は「ん…」だけ。ただしPCに関しては一番詳しいため、しばしば拓留たちの調査に付き合わされることがある。
香月は正直かなりぶっとんでいるキャラなのだが…そこはプレイして見てくれといった感じだ。
ところで舌を引っ張られるスチルで興奮したんですけどこの感情はどうすればいいですか。

伊藤真

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碧朋学園3年生。拓留と同じ新聞部で拓留の悪友といっていいだろう。
本作の重要事件「ニュージェネレーションの狂気」に深い関心を持ち、猟奇事件マニアでもある。
どこか拓留とは意気投合するのか、新聞部の部員らしい部員の活動を一番しているのは彼かもしれない。
彼に抱いた所感としては、やはり彼は一番の被害者だろうという点だ。
つらい。それはそうと伊藤ツナサンド買ってきたけど食べる?

山添うき

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碧朋学園中等部2年にあたる。ある件をきっかけに新聞部に出入りするようになる。
なんかもう存在が序中盤のネタバレみたいなところあるからこの子存外語りづらいという印象だ。
うきルートはかなり力が入っているため正直全部踏む必要はないのだが全部やってほしい。
あれの最後、救いはあったと願いたい…

久野里澪

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一応碧朋学園3年生として所属している。
信用調査会社「フリージア」という会社に出入りしており、「ニュージェネレーションの狂気の再来」について調査をしている。
ひたすらに頭脳と顔にステータス全振りしてしまった女。だがそこがいい。
彼女の魅力はこの記事で片付けるにはあまりに惜しい。本作は宮代拓留の成長物語であるといったが、それだけでなく『Chaos;Child』のヒロインたちがみな成長していく物語でもある。
その中でも顕著なのがこの久野里澪という顔のいい女だ。
終盤見せる彼女の心境の変化、そして言葉はまさしくこの『Chaos;Child』での成長の結果であることは間違いない。
ちなみにこの頭脳と顔に全振りした女、『Steins;Gate』に出てくる牧瀬紅莉栖と同じ研究室に出入りしていた経歴があり、コミカライズされた「Chaos;Child Children's Collapse」にエピソードが載っている。
彼女のやんちゃした姿にウフフ出来ること間違いなしなので久野里澪ファンは買いましょう。

最後に

色々と語ってきたが、とにかく本作においてはキャラの設定、世界観の設定など荒唐無稽とすら言える部分が許容されるのは、ひとえに話の構成の完成度が高く、演出の絶妙な加減、そしてプレイヤーが読み進めて疲れを感じさせないにくいテンポの良さという点だろう。
また、開発者インタビューでも語られていたが、本作は「なぜこうなったのか?」というプレイヤーに突っ込まれかねない要素は悉くキャラが疑問を発することによって解消させている。
結果的に、非常に全体の完成度の高い作品となっているのだ。
最後のエンディングを終えた時、不覚にもなにもかも忘れてタイトル画面を見続けてしまった。ストーリーの最後を見届けた時、脱力感と虚無感、ただそれらに爽快感も含めた新しい感情のようなものが湧いたからだ。
この作品は世に出てから既に6年にもなる。それにも関わらず今年プレイした私がこれだけ強く感情を揺さぶられ完成度の高さに唸らされたならば、これはもうこのゲームの面白さは時の移ろいで変化するようなものではないということだろう。
「当時は面白かったけど今やると」といったことがVNだとシステムの関係上あまり起こりにくいのはメリットだが、それでもきつい部分というのは生まれるものだ。ただこのゲームはそれを一切感じさせない素晴らしい出来だった。
このゲームが2020年に出ていたなら迷わず私はこれをGOTYと言っていただろう。
それほどまでに今年トップクラスで私が影響されたゲームだった。これをきっかけに『Chaos;Head』も『Robotics;Notes』も同じ科学ADVじゃ!といってプレイしたので。もちろん、LCCもDaSHもやりました。
また、本作の後日談として「Chaos;Child Children's Revive」が小説として出ている。こちらもプレイ後は必読レベルだ。チェックしておこう。
そんなこんなで、2020年最後の個別ゲーム記事でした。
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