Quantum Break レビュー。 選択肢が生み出すゲームとドラマ

今回ご紹介するのは "Quantum Break" だ。
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この Quantum Break を作ったのはあの Alan Wake の Remedy ということで、中々期待していたのだが買う機会を度々逃していたので、偶然1日だけセールをやっていたのは幸運だった。
Alan Wake をプレイしたのも大分前の話となるくらいには月日が経ってはいるが、取り敢えず感想やらを言っていこう。

はじまり

"Quantum Break"はある日、主人公のジャックが友人(?)であるポールに見せたいものがあるといった感じで彼が受け持つ大学の研究室に呼び出される。
そこでジャックが目にしたのは、とてつもなく巨大な謎の機械だった。ポールはそれをタイムマシンといい、彼はジャックに起動を手伝うよう促す。
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半信半疑でジャックがポールの手伝いをし終え、ついにタイムマシンを動かす。
そのときジャックの兄であるウィルがきて起動を止めようとするが、もう抑えられない。ウィルは無理やりでも止めようとするが、その際アクシデントが発生してしまい、「時間の崩壊」が始まっていく。
その時起きた事故のためか、ジャックは時間に関しての干渉を行える「クロノン能力」を身に着け、物語が進んでいく。
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時に関する能力

Quantum Break は、Alan Wake と同じように戦闘はTPS, 探索や移動はアクションアドベンチャーに近い感覚で味わえるゲームだ。
本作の特徴はなんといってもジャックが身に着けたであろう「クロノン能力」、これが戦闘や移動や探索で欠かせないものとなってくる。
例えば頭上に落ちてきそうなオブジェクトの時を止めたり、破損しているオブジェクトの時を巻き戻して道を作ったり、探索での用途は様々だ。
また戦闘でも、自分だけ早く動いて敵の死角を突いたり、自分の周りだけ時空を歪めて弾丸が避けるようになるシールドを張ったりと、他には中々ない要素だろう。
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「話」の進み方

このゲームは非常に面白い取り組みをしていて、各章ごとに主人公ジャックを操作するパートがあるのはもちろん、そのあとにある理由で敵となったポールを少しの間操作するパートが存在する。
そしてパートで1つずつ選択肢が設けられることになる。興味深いのはその選択肢だ。
選択肢の取り方によって、ポールの周り、そしてジャックの身の回りで起こるイベントが変わってくるということだ。
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また、このゲームはもうひとつ面白い取り組みをしていて、そのポールのパートが終わると、驚くことに実写のドラマを見せるパートが始まる。これが内容も見事にゲームとリンクしていて、しかも上述したポールの選択肢ごとによって実写ドラマパートも内容が変わってくる。
これはとてもすごい取り組みだとは思ったが、ほかのデベロッパはこんなの真似しようにもできないだろうなー…という変な笑いがプレイ(?)中こみあげていた。
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戦闘システム

上述したように、戦闘システムはTPSにクロノン能力を駆使して進めていく、というのが主なシステムだ。
能力の多彩さやエキサイティングさにワクワクする一方で、肝心のTPS部分はどうしても平凡なものとなってしまっている。
まあここらへんは Alan Wake も同じ感じだったしいいかなとは思うけど、さすがにカバーシステムとジャガーノートじゃない重装兵の硬さは少し気になった。
また、戦闘システムの話とは違うがダッシュなどもドッジ(能力のひとつで短距離の瞬間移動が可能)を際立たせたいがためか、
少し"とろい"という印象となってしまっているため、ここらへんもせめて能力が使えないパートの間は早く移動できるようにしてほしかったというのが素直な気持ちだ。

最後に

"Quantum Break"は、平凡なTPSやアクションの土台から「時間」にまつわる物語やシステムが見事に覆いかぶさることで、見事に補うことに成功している。
物理エンジンの見事な応用、(資金面的な意味で)暴力的ともいえる実写パート、そして選択肢が生み出す結末…、"Quantum Break"というひとつのゲームでありドラマを生み出しているといってもいいだろう。
Remedy は Alan Wake のようなサスペンス・ホラーでこそなかったものの、またもやってくれたのだ。