The Red Strings Club 感想。カクテルで揺さぶられた客とプレイヤー

今回紹介するのは The Red Strings Club だ。
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どんなゲームか

The Red Strings Club は、巨大な企業であるスーパーコンチネント社の陰謀を探るべくプレイヤーはバーテンダーである「ドノヴァン」
そしてスーパーコンチネント社に対抗するために動く若者「ブランダイス」のパートにて選択肢を決めていく、サイバーパンクADVだ。

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舞台となる世界では、5~6割の人間がみな体にインプラントを埋め込んでおり、それによって精神状態を保ったり、それによって人間的に優れた能力を得たりしている。
そんな世界で日々バーテンダー兼情報屋をやっているドノヴァンのバーに、ある日謎のアンドロイドが現れる。
それは「アカラ」といい、スーパーコンチネント社が作り出したものであった。
ブランダイス、そしてドノヴァンはどうかかわっていくのか、というのがプロローグだ。

カクテルで客の心情を揺さぶれ

このゲームはバーテンダーであるドノヴァンを操るということもあり、カクテルを客にふるまうシーンが多々ある。
そこでプレイヤーは、客に合わせてカクテルを作る。
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訪れる客のほとんどはスーパーコンチネント社の関係者であるため、ただカクテルを作るのではなく、彼らから会話と情報を心情に揺さぶりをかけたりしながら引き出していく。
勿論その心情に合わせて質問をして情報を引き出すのだが、時にはその気分に合った会話ではないため引き出せない、みたいなことも少なくないのでそこは注意だ。

お酒はバーボン(茶色のボトル)で上、ウォッカ(白色のボトル)で下、アブサン(緑色のボトル)で左、テキーラ(黄色のボトル)で右にソウルノードを合わせ、カクテルを提供していく。
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ソーシャル・メンタル・ケア

時にあなたは悲しみや怒りのあまりなにか自分でも抑えられないようなことをしてしまったということはないだろうか。
そんなときに起こりうる事態を助けてくれる、とこの作品内にて出てくる「ソーシャル・メンタル・ケア」だ。
ソーシャル・メンタル・ケアは、そういった負の感情を無くし、インプラントを埋め込んだ人を助けてくれるというシステムという設定だ。
さて、これを現実世界の人が知ったとき、あなたが知ったときどのような感情、疑問、答えを抱くだろうか。
面倒くさい感情を無くしてくれるなら万々歳?それとも、いやいやそんなの胡散臭すぎる?はたまた体のいいマインドコントロール
色々な倫理観に問う内容だろう。The Red Strings Club は、そういった現実世界とまるで繋がっていないようでそこまでかけ離れてもいない、いわばこれからもしかしたら現実世界でも起こり得るかもしれない、そんなことに近い疑問を投げかけてくるのも、魅力のひとつだろう。
勿論これにこれが正しいなんてものは存在しない。プレイヤーがこのスーパーコンチネント社の行うことについて、どのような感情を持ち、どう思ったか。
これをプレイヤーひとりひとりが持てることが The Red Strings Club でえられるもののひとつではないだろうか。

アカラという存在、そしてプレイヤーの倫理観

アカラは時にはドノヴァンに質問し、奇妙でもありしかし倫理観に確実に訴える質問をしてくる。
例えば客がスーパーコンチネント社に対しどう思っているかから、ソーシャル・メンタル・ケアに対してどう思ったか。までを聞いてくる。
ドノヴァンが会話によってどう感じたか、それこそがプレイヤーの反応そのものであり、どう感じた?そう思ってたものがこうでしたよ、どうでしたか?と変化をきいてくる。
そしてアカラもまたドノヴァンの受け答えによって変化していくため、注目だ。
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インタラクトできる部分と、そこから出される演出

The Red Strings Club は非常に素晴らしいゲームだ。
現実世界でも問われる倫理観だけでなく、そこからゲームとしてどうするかの演出に大変凝っている。
それはプレイヤー自らが体験してほしいし、だからこそどうなるか、感じてほしい。
多くの傑作を迎え終えた2017年から、The Red Strings Club は2018年いきなり彗星の如く現れたモンスターでありまぎれもない傑作だ。
これの結末をどう感じ、どう終えるか。
それこそ、プレイヤーに対する新しい疑問の投げかけの仕方なのかもしれない。
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