A Plague Tale: Innocence 感想。 待ち受けるは悲劇と、持つべきは灯。

今回紹介するのは A Plague Tale: Innocence です。 f:id:pado2donpan:20190728143714p:plain

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どんなゲームか

A Plague Tale: Innocenceは14世紀ヨーロッパで発生したペストをテーマにした、姉 Amicia と弟の Hugo が過酷な環境に置かれながらも生き延びていこうとするアクションアドベンチャーゲームだ。
2人の姉弟は貴族の家系に生まれ育ち豊かな生活を送っていたが、ある日現れた異端審問官たちの襲撃によって事態は一変する。
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彼らから命からがら生きのびるも、住み込みの従者から肉親まで殺され、それでもなお追われ続けるふたり。 ふたりは母親の言う医者に会いに行くこととなり、手をつないで逃げながらも進んでいく。
そして逃げた先でもまた困難が多く立ちはだかることになる。プレイヤーは Hugo をリードする Amicia を操作し、様々な困難から脱出していくのが目的だ。

アクションとしてはステルス重視

本ゲームは基本的に徘徊などをしている敵から身を隠し、目的地にたどり着くことを繰り返していくステルス要素多めのアクションだ。
基本的なステルスアクション要素は、小石を投げ音を出して注意をひきつけたり、姉のAmiciaがもつスリンガーで孤立している敵を倒したり、草むらに隠れながら敵の視界からやり過ごしたりなどがある。
ここらへんは他のステルスゲームをやったことがあるなら似たようなものを見たことがあるだろう。
やればわかるのだが、非常にベースはオーソドックスなものから入っており、Hugo のバディアクションもストレス要因なのかと思いきや割とそうでもなく、Hugo をいかに駆使して切り抜けていくかみたいな場面も出てくる。
f:id:pado2donpan:20190728152104j:plain コレクションアイテム等の探索要素もあり、アクションとしては十分な内容となっている。
また、アイテムクラフトの要素はステルスをよりやりやすくしたり後述するネズミの脅威から身を守るものとして使ったりもする。
終盤は若干 Amicia のスリンガーやべーぞおい!みたいなことになったりもするがなんだかんだ敵の方が基礎スペックは高いので無双は難しかったり。
操作に一部もう少しキビキビしてほしいとか改善してほしいと思うところはある者の、おおむね満足できる感触となっている。
また、これに加えて特筆すべき要素がある。それが「ネズミ」だ。

ネズミの脅威から切り抜けろ

A Plague Tale: Innocenceでは、ペストの感染経路となったネズミがゲームのフレーバーとしてもシステムとしても組み込まれている。 ネズミは主に姉弟の旅にて逐一登場し、ステルス要素とはまた別のアクション要素となる。
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まず、ネズミは大群で闇に潜んでいる。そしてネズミは光に弱い。ここがキモだ。このゲームはこの明かりがステルスするうえでも必要になるが、ネズミとの遭遇の際必要不可欠となるのだ。
明かりを灯していればネズミには捕まらない。そして進むべき道にどう明かりを灯していくか、どうネズミから逃れるかという謎解きに近いものとなっている。これがこの A Plague Tale: Innocence の特徴だ。
このネズミの要素は、普通に姉弟を追ってくる人間たちとのステルスでも絡んでおり、ここがまたこのゲームで面白さを発揮させていることは事実だろう。
だが所詮ネズミでは?と思うが、彼らに捕まったら最後、肉から皮まで満遍なく食い散らかされ、死んでいってしまうのだ。そうならないためにもネズミからは極力避けるよう頭を使って進もう。
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余談だが、このネズミは画像で見るより実際にプレイしたり動画で見たりするとなおいい。主にワラワラ加減がちょうどいい気色の悪さと不気味さを表現していて、初めて筆者が出会ったときはおお……と声が漏れたほどだ。
是非ともこのネズミちゃんたちをプレイして観察してみるのも、フレーバーとして面白いだろう。

姉弟に降りかかるものは

いきなり家が襲撃されたこともそうだが、姉弟たちの進む道には様々な理不尽、不幸、惨劇が降りかかる。
序盤では魔女狩りをしていた村に鉢合わせして追われたり、頼れそうな神父さんと会えたと思ったら悲惨なことになったり、周辺でも悲しいことは巻き起こる。
それでもふたりを助けてくれる人はおり、彼らの協力で姉弟は進んでいく。
本ゲームは色々な理不尽があるけれどもそんな中でも光はある、仲間ができる、そういったものと闘える。
そんなものが裏にあるのかなと考えもした。それはこのゲームのシステム的にもネズミ自体が恐ろしく抗えないことの象徴のようなものであり、それに対抗するのが人間が生み出せる光でもあることからも想像した。
かなりこっぱずかしい感想になってしまうが、そういった雰囲気が感じ取られたのも本ゲームであったということだ。
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話の流れを観てみると

そういった話の悲しさとそれに立ち向かっていくアドベンチャーなわけだが、お話の都合上どうしてもそうしないといけないがうーむとなってしまう点があった。
それがn日後…とかn週間後…とか突如入った後、本当にその月日切り替わって話が進むというものだ。
急に切り替わるので、プレイヤーのこちらとしてはえっ?となってしまうし、当然の如くその経過を誰も話さないまま進むので(大体進展なしで日だけが経つ、みたいなパターンだが)、若干置いてけぼりになってしまう。
ここらへんはせめて経過の話を会話上だけでももうちょっとねじ込んでほしかったかなと思ってしまう。それ以外は満足のいく出来だっただけに。
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最後に

そんな姉弟で隠れ、逃げ、切り抜け、ネズミのワラワラ感も見ていてだんだん面白いと感じられるようになる A Plague Tale: Innocence, ぜひ一度手にしてみるのもいいかもしれない。
今回はこんなところです。 f:id:pado2donpan:20190728163529j:plain