Cliff Empire ファーストインプレッション。 複雑さと災害に悩みながらも楽しい街づくりを

今回紹介するのはCliff Empireです。

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どんなゲームか

Cliff Empireは文字通り「崖の上」で街を作る、シミュレーションゲームだ。
設定としては周りが白い雪みたいなものに覆われているが、これは放射能汚染によって包まれた世界だとのこと。
プレイヤーはこの崖の上に畑を、港を、都市を作り上げていくことになる。

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真っ白ですな~

世界自体の設定としてはこんなところであるが、この設定を活かして本ゲームでは様々な…いや、主に大体後述するある要素になるが、都市に障害が立ちはだかる。
それがどんなものか、どういうシステムかを踏まえた上で語っていこう。

生活というよりは建物の観察

このCliff Empireでは、Cities:SkylinesだったりSimCityのように資源を用いて 建築をしていく。
ここでその2つと大きく違うのは、このゲームでは「交通整備」をほとんどやらなくても良いという点だ。
先に挙げた2つのゲームでは、資源を用いて道路を引き、それをもとに区画を作り住宅街、工業地帯、サービス業といった風に分けて作成することも多い。
しかしこのCliff Empireでは確かに交通というパラメータで存在してはいるものの、これを厳密にやる必要はない。
なぜなら、そもそもこのゲームは非常に建築できる土地の大きさが狭い。
しかも筆者が現時点で確認した限りでは、崖自体が拡張できるということがない。(崖下、宇宙空間とかではなく、崖の総数が変わるかという点)
プレイヤーが土地をこねくり回せる崖の数は3つで固定されており、これによって交通という要素はほぼ無くす必要があったのではないかと感じた。
また、Cliff Empireでは先2つのゲームと比べなくてもかなり人の流出入、そしてフローを確認する必要がない。「数が足りない」か「数が多すぎるか」の2択だ。
生活する人の動きもほとんど簡略化されている。故に、どう役割が与えられた建物を広さの限られた土地で建てて、崖を発展させていくのかを考えるゲームとなる。
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上で人の流れは気にする必要のないゲームとは言ったが、住民としてどういうことを都市に求め不満を抱くのか、などはパラメータで可視化されている。
例えば食料や水資源なんかはもちろん、あとは魚、野菜、ブドウ、トマトといったビタミン資源をとらないと住民の健康を阻害し、結果的に都市としての満足度にマイナスが付くのだ。
資源の管理をし、それを住民に分け与えて満足度が高いまま維持できていれば、住民はその都市に居ついてくれる。しかし、満足度を維持できないとあっという間に離れていき、最終的には都市として機能しなくなりゲームオーバーとなってしまう。
都市における機能を維持し続けるコスト、という意味では住民は常に意識する必要のあるパラメータである、というわけだ。
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豊富な資源がプレイヤーを悩ませる

さて、住民のご機嫌を取るためには資源が必要という話は先述した。
では、実際に資源はどういうのがあるのか?特に必要なものをあげていこう。

水と食料

これは最も人間が生きる上で大切なものだ。これは住民の満足度をキープするにはなくてはならないし、水にいたっては人間以外にも建物の維持に必要になってくる。
食料は畑から、水は地下水か、池の水を濾過して手に入れる。さて、さっそくここでこのゲームの関門が立ちはだかる。
実はこのゲーム、崖は3つしかないと述べたが、その崖もランダムでどのようなものになるか変わってくる。
具体的には、「食料を手に入れるのに必要な畑を育てるのに適した土壌か」という問題だったり、「地下水はそもそも取れる量が少ないが、池の水はまず崖に存在していない」といった問題が発生する。
実はこの崖ごとに適した取れる資源については「大学」を建築すればわかるのだが、ともかくこの崖での資源差問題を見つめないとどうしようもない、ということにまず留意してゲームを進める必要もあるのだ。

電気

これも現代では欠かせない資源だ。
これはとる方法が様々で、太陽光、風力、原子力(+その他)といった方法がある。これも実は崖ごとでどれが一番電気を取るのにいい発電方法か変わってくるのが難しいところだ。
だが、悩んだら風力を取るのがいいかもしれない。風力は画面全体にエフェクトが出ていて分かりやすいのでエネルギーの中では一番判別しやすい。それで決めるのもいいだろう。
また、過剰に取れてしまった電力は「バッテリー」という形で置き換えることが可能であり、貯蔵していざ発電できない状況下に陥っても安心だ。太陽光発電は発電方法としては昼夜問わずはできないし、安定していないのでは…?と思った諸君でも問題ない。
さらに言えばこのゲーム、太陽光発電の発電量は崖がその発電に適していると原子力発電より効率が良かったりするので、夜発電できなくてもバッテリーで補うなんてのは容易なのだ。

マター

これは鉱石資源だ。ありとあらゆる建築資材のもととなるため、まず初めに採掘場を作っておきたい資源だ。
いつも通りこのマターも崖ごとに取れる量が変わってくるので注意だ。
また、こういった鉱石採掘の建築物には自然環境破壊をもたらし、自然環境のマイナスは崖の住民の満足度を下げることになる。注意しよう。

ビタミン系

これが最後だ。 先述したように、魚、野菜、ブドウ、トマトなどといったものとなる。これらは開拓はじめはほとんど必要ないのだが、住民が増えてくると当然健康面を気にする必要も生まれてくるので、そういったときから必要になってくる資源だ。
なお、これを無視していると病死していく住民などが出るので注意して収穫していきたい。
ただ、ネックなのが魚だが、これは崖がもし池のない崖だった場合酷く苦労する羽目になる。
入手が輸入という割高な手段に限られてしまうのだ。
このゲーム、いち資源を輸入に頼り切るというのは本当にできればやりたくない方法なので、スタートで池が3つの内1つもなかったらやり直しでもいいかもしれない。その位シビアなのだ。
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さて、主にこの4種類となるだろう。細かいので言えば家電製品やら家具屋らウランやらドローンやら色々あるが、
実際にプレイして確かめてみるといいだろう。
だが、このゲームはそれなりに資源が細分化しているうえにその役割がどれも被っているのがほとんどないこともあり、多少複雑なのだ。
この傾向は建築物にも現れており、同じ種類のものの面積違いとかが4種類とかなんてザラだ。
もう少しコンパクトにしてもよかったかもしれないという点はあるだろう。

もっとプレイヤーを悩ませる"災害"

さて、主にマネジメントの話になっていたが、こんどは都市、もとい崖に迫る脅威について説明する必要があるだろう。  このCliff Empireを語るうえで、この災害要素は欠かせないのだ。
まず災害といっても様々だ。ただの濃霧のように濃い雲が視界を覆うだけだったり、雷雨だったり、雪だったり、乾季だったり、
一見するとただの季節の天気なだけでは?とすら思えるが、それで甘く見て痛い目にあったプレイヤーは筆者含めて少なくないだろう。
この「災害」というか天候変化、先述した資源の産出量、建築物への間接的な影響が深く現れ、対策なしでは一気に都市が崩壊していくのだ。
たとえば「雷雨」だ。これは対策しなければ運搬に使うドローンを雷によってことごとく破壊して流通をズタズタにし、建築物に被雷しては火災を引き起こす。
また、雨により太陽光発電の機能が完全ストップする。
こういった事態が発生するのだ。
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では完全にただのデメリットしかないものなのか?実はそうではない。この「雷雨」は避雷針を立てることである程度対策可能だし、避雷針に落ちた雷によってバッテリーがいくつか作成される。
また、風量が高まるため風力発電の発電量が多くなる。こういったメリットも持ち合わせているのだ。
まあ、中にはデメリットだらけでメリットが微々たるものなんてものもあるが、「対策ができ、それでいて場合によってはチャンスに変えることも可能なイベント」が不定期で発生するのだ。
ただやはり初見では何が起こるのか全く予想がつかず、そのまま都市機能マヒしてやり直し、なんてことも多いのでこのゲームはセーブをこまめにとることが求められる。
トライ&エラーの精神で、どう上手くやれば対策しつつ都市を保てるか、「皇帝」の腕の見せ所だろう。 

細かくて覚えることは多いがそれでも楽しいゲーム

Cliff Empireはやはり覚えることも少なくなく、こまめなセーブ、初見で失敗してもじゃあどう立て直していくかといったものが求められる。
それでもうまく都市が機能し、どんどん資金がたまっていきさらに都市が賑わっていくのを見ているのはやはりCitiesをプレイしている頃からそうだが、楽しくて仕方ない。
住民という存在は影は薄いが確かにいるし、なにより「建物ニョキニョキ」は見ていて楽しいものだ。
そんな難しくも都市開発ゲームに必要な楽しさはしっかり残しているCliff Empire、ぜひ手を出してみてはいかがだろうか。
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ではでは、今回はこの辺で。